2022年03月22日
2021年のBest Act
1995年に、升毅や生瀬勝久らの豪華俳優陣で、12人の陪審員が大阪人のノリ丸出しで議論する姿を描いた伝説のコメディ『12人のおかしな大阪人』。出演者の一人で、[枚方市総合文化芸術センター]アドバイザーを務めたわかぎゑふが、今の関西の若手俳優たちを集めて復刻上演した作品がベストに選ばれた。「ただの面白おかしい話ではなく、群像劇としてすごくバランスがいいし、陪審員制度への風刺もちゃんとある。初演の先人たちをなぞらず、2021年の作品として押し通されていた」などの声があった。ちなみに本作は「再演」の議論のきっかけにもなったが、それは再演部門の所で後述する。
第2位は、平清盛の息子・平重衡と、浄土宗の始祖・法然の出会いを、架空の世界に置き換えて描いた、ルドルフの重厚な時代劇がランクイン。「大きなスケールの話を、登場人物たちの心情を取りこぼさず、しかもエンタメとしてきちんと描き出した。大河ドラマを見てるみたいだった」などの感想が寄せられた。
健常者と障がい者の俳優が、脳性麻痺の人が主人公の物語を共に演じたトリコ・Aの芝居で、障がい者の一人を演じた佐々木ヤス子が初のベスト1に。「出てきた時に、障がい者の人と疑わなかったほどのリアルな演技がすごい。身体性が求められる劇も会話劇も両方ちゃんとできる、数少ない女優」との称賛が上がった。
第2位は、群像芝居の名作で、陪審員の一人を演じた野田晋市。「どの上演を観ても、まったく好感の持てなかった陪審員7番を、アメリカの病理の1つのように演じていて、初めて共感できた」などのコメントが。
同率で2位になったのは、『その犀は……』で、平清盛をモデルにした暴君と、法然をモデルにした僧侶の二役を演じた二口大学。「法然的なイメージの強い二口さんが、冷酷で乱暴なキャラクターがハマっているのに驚いた」などの声が出ていた。
ベスト3には入らなかったけど、高く評価された主な役者は(50音順に表記)、西マサト(努力クラブ『救うか殺すかしてくれ』)、広田ゆうみ(津あけぼの座スクエアクリエーション2『葉桜』)など。
選出せず。
そのために今回は、話し合い参加者の中で「この状況で、ベストの1本を選ぶのはフェアではない」という結論にいたり、今回は「選出せず」という結果になりました。
また今回の反省を踏まえて、再演部門に新しいルールを設けることになりました。後日公開いたします。
2022年02月04日
2021年度Best Act オンライン開催情報
関西で上演された芝居の中から、観客が本当に「面白い!」と思った芝居&役者のベスト3+再演作品を話し合いで決める「関西Best Act」(このイベントの趣旨などにつきましては、コチラをごらんください)。
例年は、上半期・下半期に分けて開催していますが、今年は新型コロナウイルスの影響で、通常よりも上演された作品が少ないという状況を受け、通年で選出することにいたしました。 また例年のように、大勢が会食しながら話し合うというスタイルは感染リスクが大きいので、昨年に引き続きZoomでのオンライン開催といたします。
また昨年の作品部門は、オンラインのみの演劇が多数開催されたため「フィジカル」と「オンライン」の2部門を設けておりましたが、今年は一括して対象とすることになりました。
オンラインは全国の演劇を鑑賞することができますが、「関西の演劇」を対象とした企画である都合上「関西で上演が行われた作品」あるいは「関西の劇団or関西在住の作家・演出家が企画した作品」に限定させていただきます。
※たとえば、多地域の俳優が参加したZOOM演劇などは、主催者や作・演出を行った人が関西在住の場合「関西の演劇」とカウントいたします。関西の俳優が多数出演していても、企画者や作・演出家が他の地域在住の場合は、対象外といたします。その他イレギュラーな作品が浮上した場合、話し合い参加者の討議によって、対象の可否を決定いたします。
日時:2022年3月6日(日)18:00~20:00予定(途中参加・退出OK)
参加費:無料
諸条件など:
●参加資格は「2021年1月1日~12月31日の間に、関西の芝居(演劇・ダンス・ミュージカルなど含む)を4本以上観劇した人」です。再演作品の基準については、コチラをごらんください。なお役者部門には、初演・再演の区別はございません。
●話し合いに参加を希望される方は、開催前日の午後6時までに、Zoomの招待送付を希望するメールアドレスをお知らせください。
●見学のみの参加は、特定媒体での掲載を前提とした取材以外は受け付けておりません。
●投票のみの参加も可能です。その際は、コメント欄 or 下記連絡先まで作品、役者(該当する公演名も添えてください)のベスト3、再演作品のベスト1をお送りくだされば、話し合いの中で反映させていただきます。簡単な理由も添えていただくと嬉しいです。
●参加される方も、当日の話し合いをスムーズにするため、あらかじめ全てのベストを決めた上で臨んでください。
●今回の結果は当サイトで紹介させていただくと共に、いずれかの媒体で記事にさせていただくこともあります。その際話し合い中の発言が、記事に反映される場合があることを、あらかじめご了承ください。
連絡先:m-yoshinag(あっとまーく)m01.fitcall.net
※メールを送信する際は、(あっとまーく)を@に変えて使用してくださ い
※ツイッターのアカウント(@Yoshine_A)にメンションを送る形でも受け付けております。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
2021年03月25日
2020年のBest Act
戦地に慰問で訪れたパフォーマンス集団の、ささやかなレジスタンスを描いた劇団の代表作に、その前日譚となる短編をプラス(+)した、再演+新作のハイブリッドと言える公演を行ったMONO。まず、これを再演扱いとするかどうかで議論となったが「+の部分が入って印象が変わった」という理由で新作扱いとなり、作品部門の一位に選ばれた。「“人間の争いはこういうもの”という普遍的なテーマがよりくっきりして、10年以上前の作品にまったく劣化を感じさせなかった。新しいメンバーも馴染んで、いろんな点で深さが増したと思う」と、好意的な評が集まった。
2020年10月に急逝した河口仁が、大阪の町工場を舞台にした『ダライコ挽歌』の銀行員役で、初めてベスト3入り&第一位に。「もともと上手い俳優だけど、特に今回の酔っぱらい演技は本当に酒の匂いがしてきそうで、技術力の高さを痛感した。早逝が惜しまれる」との声が上がっていた。
第二位は、高級料亭が舞台のコメディで、いろんな失敗を引き起こす仲居を演じた松浦絵里が、こちらも初めてランクイン。この作品は、他の女優陣もノミネートして票が割れたが「いろんなスカタンぶりで“美しき破壊神”となり、南河内万歳一座とはまったく違う一面を見せることができた」という理由で、松浦を代表として選出した。
第三位は、2019年下半期でベスト役者に選ばれたのたにかな子が、再びトランスジェンダーを演じた『ハルカのすべて』で、2年連続ベスト3入り。「『カンザキ』の遥と同じようで、たたずまいがまったく違うトランスジェンダーを見事に演じ分けていた。作者のピンク地底人3号にとって、もはやミューズと言える存在」などの声が集まった。
ベスト3には入らなかったけど、高く評価された主な役者は(50音順に表記)、朴璐美(shared TRUMPシリーズ 音楽朗読劇『黒世界』)、東千紗都(ばぶれるりぐる『二十一時、宝来館』)、藤原大介(劇団飛び道具『引き波に乗る蜘蛛』)など。
コンブリ団『紙屋悦子の青春』
ヨーロッパ企画『京都妖気保安協会』シリーズ