2013年02月11日
2012年下半期のBest Act
【作品部門】
1.劇団子供鉅人『幕末スープレックス』
2.柿喰う客『無差別』
3.伊藤えん魔プロデュース『ロミオとジュリエット』
今回はほぼこの上位3本の接戦。その中から「過剰なぐらいサービス精神があるけど、今回はそれが散漫にならずビシっと見せてくれた」「楽しげな舞台の中に、風営法によるダンス禁止などの昨今の文化事情の危機に対抗する意識も見て取れた」など、娯楽性も批判精神も高い子供鉅人の舞台がトップを制した。2位の柿喰う客は「ジャングルジムのような舞台と役者の動きがすごい」「差別の話を、このように俯瞰的かつ演劇的にスマートに見せることができるとは」などの声が。伊藤えん魔プロデュースは「ロミオが没落貴族のジゴロという設定が面白い」「“絶望”バージョンと“希望”バージョンでキャストが変わることで、見え方が違ったのが興味深かった」と、前年の『蒲田行進曲』に続けて好評を得ていた。
これ以外にも、ベスト3には入らなかったけど高く評価された主な作品は(ユニット名50音順に表記)、iaku番外公演『LOOP』、ABCホールプロデュース『目頭を押さえた』 、こまち日和『ジャム瓶』、ヨーロッパ企画『月とスイートスポット』など。
こちらは上位の2人に票が集中。特に『ロミオとジュリエット』を観た人間がほぼ全員一位に上げた橋爪は「想像をはるかに上回るほどかわいいジュリエットだった。2バージョンともブレがなく、しっかり劇世界を支えていた」と、絶賛の声が集中。2位の中川は「揺るぎないと思われた王者舘の世界に、見事に違和感を持ち込んでいた」という少年王者舘公演での演技と共に、ヨーロッパ企画本公演でのヤクザ役も併せて評価された。以下接戦となった3位は、この話し合いでは過去に何度か名前が上がっていた深谷が「“美しさ”を幅広く表現できる人。特に今回の役は、鬼気迫る美しさがあった」との声に押されて3位入り。
これ以外にも、ベスト3には入らなかったけど高く評価された主な役者は(50音順に表記)、 キキ花香(劇団子供鉅人『幕末スープレックス』)、黒川猛(THE GO AND MO's『松尾の凛』他)、林英世(『林英世ひとり語り』)など。またこの話し合いの常連で、伊藤えん魔プロデュースなどで名前が上がった山浦徹には「多分小劇場で演技させたら、世界でも勝負できるぐらいのレベルの人。もう殿堂入りということでいいんじゃないか」という声が上がっていた。
※文中敬称略